リオデジャネイロ五輪ではゴルフも新たに登場する。「新種目」ではあるが、実は112年ぶりに五輪に復活して、戻ってきたのだ。
今回は国別の団体戦はなく個人戦のみで、五輪ランキング上位の60人が出場する。1世紀ぶりの正式種目入りで出場経験のある選手はいない。ツアー大会とは違う、母国の代表としてメダルを争う姿が見られるということで、コアなファンも興味深いはず。だが直前になって男子代表で思わぬ展開が……。辞退者が相次いだのだ。
これまでに日本の松山英樹が出場を見送ったほか、ジェーソン・デー(豪)やダスティン・ジョンソン(米)、ロリー・マキロイ(英)ら世界ランキング上位陣が相次ぎ辞退を発表。これには国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も怒り心頭で、2020年の東京五輪以降のゴルフ存続の判断に影響するとの見方も示したという。
今回の混乱についてゴルフ解説者のタケ小山氏は言う。
「国際ゴルフ連盟と選手が一緒になって、長年IOCにゴルフの五輪復活を働きかけてきました。ロンドンでは実現しませんでしたが、リオで実現した。そんな経緯もあり、当然トップ選手も出場するものだと思っていました。ところがフタを開けてみると出なかった。愛国心の強い米国からも不出場者が出たのには、ちょっと驚きました」
辞退の事情はそれぞれだが、よく聞く理由は現地の治安情勢やジカ熱の問題だ。だが小山氏はこう続ける。
「あまり関係ないと思います。本音は(五輪では)賞金が出ないというのが大きいでしょう。五輪出場のためにツアーのシード権を失うリスクを訴える選手もいる。そもそも男子ゴルフには全英など四つのメジャー大会があり、勝利すれば賞金も名誉も手に入る。成熟したプロ競技にとって選手を出し続けるのは難しい面もあるのかもしれない」
とまあ、今回の騒動はオトナの事情も絡んだ話のようなのだ。辞退が連鎖する中でも出場する選手は、愛国心や士気がいかにも高そうで、戦いがヒートアップするのも間違いない。注目選手は誰なのか。