基本的に天皇及び皇族方にも、所得税は発生する。公務にかかわる宮廷費や、生活費である内廷費、皇族費は除外規定があるが、本の印税や原稿料などの収入は課税対象なのだ。昭和天皇が逝去した際、今上陛下と香淳皇后はそれぞれ約9億円を相続している。当時の新聞には、陛下は約4億円を納税し、香淳皇后は、配偶者控除による非課税枠が適用されたと記載がある。

 山下氏が続ける。

「三種の神器は、皇室経済法7条に、『皇位とともに伝わるべき由緒ある物』と定義され、同時に相続税法12条に課税されないと明記されています」
 
 しかし、天皇陛下が皇太子さまに譲位した場合、三種の神器は相続ではなく贈与になる。皇室関連法は天皇の終身在位が前提のため、贈与に関する規定はない。

「記載がない場合は一般法に従いますから、草薙剣(くさなぎのつるぎ)や八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)、八咫鏡(やたのかがみ)は課税対象になります。三種の神器は国宝級の品ですから、課税額も高額でしょうね」(山下氏)

「生前退位」問題は、蓋を開ければこうした課題が山積みにちがいない。

週刊朝日 2016年8月5日号より抜粋

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