生前退位の実現には、さまざまな壁が…(※イメージ)
生前退位の実現には、さまざまな壁が…(※イメージ)
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 7月18日に報道された天皇陛下による「生前退位」のご意向が、各所に驚きをもたらしたが、その実現には、さまざまな壁を乗り越える必要があるようだ。

 日本国憲法とその下にある皇室典範は天皇の終身在位を前提とした法律である。京都産業大学名誉教授の所功氏は、「退位」を可能とする典範改正は関係法など複雑な整備が必要で、時間を要すると考える。

「4年後の東京オリンピックまでにと、報道されたように数年で生前退位にこぎ着けようとすれば、今上天皇に限った特別法をつくるなど、二段構えでの準備が必要になるかもしれません。しかし本筋は典範改正です」

 他方、「退位」を認めれば、「退位の強制」や上皇制に伴う二重権力の問題が浮上する。天皇が「辞めたい」と意思を明らかにしての退位は象徴天皇の理念と矛盾し、憲法に抵触するとの声もある。

 82歳の陛下は先の1年間で、約1千件の書類決裁などの執務、約100回に及ぶ皇居での「拝謁」。そして15県29市11町に及んだ地方訪問をこなした。この激務を改善し、両陛下の負担を軽減するために、昭和の時代のように、陛下が在位したまま皇太子さまが臨時代行を務めることや、摂政を置きやすくする案も唱えられている。

 先に述べたように、「生前退位」まで踏み込めば、さまざまな問題が次から次へと浮上し、関連法の大幅な修正が必要になってくる。

「このままでは、歴代天皇に受け継がれる三種の神器に贈与税が発生しかねない」

 そう指摘するのは、元宮内庁職員の山下晋司氏だ。

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