妻から「サプリだ」「風邪薬だ」などと手渡されれば、夫は疑いなく飲んでしまう。胃まで直接落ち込むので、口元や食道にただれが出ず、溶けるまでに多少時間もかかるので、犯行推定時刻にタイムラグも発生する。

 2014年、京都や大阪、兵庫で青酸化合物による連続不審死が発覚した。いわゆる“後妻業”事件である。被告(69)は現在殺人3件と強盗殺人未遂1件の罪に問われている。

 12年3月、大阪府泉佐野市でミニバイクを運転中の男性(当時71歳)が転倒して死亡する事故があり、当初は致死性不整脈による病死とされた。しかし検察側は、内縁の妻だった被告がカプセルに入れた青酸化合物を服用させ、殺害したと主張している。発症までに20~30分かかったため、司法解剖では発覚しなかったというのだ(弁護側は無罪を主張予定)。

「高度な司法解剖が行える監察医制度は東京23区・大阪市・名古屋市・神戸市の4都市にしか導入されていない。これ以外の地域では十分な分析が行われず、偽装された自殺や事故死がまかり通ってしまう可能性がある」(上野さん)

 毒殺以外にも女性の殺人にはいくつか特徴がある。

【1】睡眠薬などで体の自由を奪ってから犯行に及ぶ【2】確実に殺そうとするため、必要以上に傷つける(めった刺しなど)【3】遺体を運びやすくするためバラバラにする、などだという。

週刊朝日  2016年7月1日号より抜粋

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