「20代は若さと勢いだけでやってきて、30歳からは恋に夢中(笑)。仕事にまったくご執心じゃない時期があったんです。そのときはたと気づいたの。“私のやりたい仕事って、有名にならないと来ないんだ。名前を売らないと”って。それでバラエティー仮面を被ったら、“あの人おもしろい”ってなった。本当にやりたいことはそこじゃなかったけど、それもひとつの創作物だと思って……。でもおかげでこうして『マクベス』みたいなお話もいただけるようになりました」
この先、人間としてどうありたいかと訊くと、「人間がどうとか、私にはわかりません。私はただの表現者だから」とキッパリ。可能性も評価も人が決めることだと断言した。
「可能性なんて、宇宙に任せておけばいい。評価なんて気にしていたらこの仕事はやってられないし」
そうぶっきらぼうに話しながらも、「ただ、人から“優しいね”とか言われたときは“そうかい。ラクになれたならよかった”と思う」らしい。
自他ともに認める人情派である。
※週刊朝日 2016年5月27日号