
ゲイリー・トーマス参加ライヴ、またまたうれしい登場
Meets Gary Thomas-Winter '87 (Cool Jazz)
こうして毎週毎週、律儀に新作を紹介しているわけですが、これほどネットの速報性(というのでしょうか)を活用している連載もあまりないのではないでしょうか(とかなんとか言って自慢するな)。少なくとも音楽関係は、皆無とはいいませんが(というのも全部調べたわけではないので)、まあ少ないだろうとは思います。
逆に言うと、ネットならではの流動性に欠けているかなという反省はあります。つまり刻々と変化していく状況をある程度リアルタイムで伝えることも考えるべきではないだろうか。とはいえ毎度毎度、みなさんにお伝えすべき重要事項などあるはずもなく、結局は本やイヴェントの宣伝でお茶を濁すのが精一杯なのですが、試みにこれから何回か、6月に出る拙著(もちろんマイルス物)の進捗状況の途中報告でもさせてもらうことにします(ほら、結局こういう宣伝めいた話題しかないんですよね)。
この原稿は4月12日の午後8時半前後に書いていますが、きょうは第7章を書き上げ、いよいよ残すところ第8章のみとなりました。ただし巻末資料として相当数のアルバムを紹介するので、まだまだ大変です。しかし便利な世の中になりました。4月下旬までに書き上げれば6月に出るのですから。出版社によっては、もっとギリギリでも大丈夫です。
ついでといってはなんですが、本日までに仕上げた本文の目次の半分を以下に挙げておきます。これで鋭いマイルス者なら「おお、なるほど」と、書名や内容を書かずともご理解いただけるのではないでしょうか(書名はまだ決まっていないんです)。
第1章:ジャック・ジョンソン~
スタンド?/元日の約束/アルプス山脈をひとっ飛び/仕組まれたジャム・セッション/
1970年4月7日/買い物帰りのハンコック/17回転のスライ/白人はオレが黒人であることを
忘れさせなかった。だからオレも彼らにオレが黒人であることを忘れさせるわけにはいかない
第2章:スタジオのなかのリヴィング・ルーム~
ポスト・ビッチェズ・ブリュー/ブラジルからの風/謎のインド人/
ロスト・クインテットからロスト・セクステットへ/友の死
第3章:暴動と沈黙~
ファミリー・アフェア/暴動(There's A Riot Goin' On)/空白の1971年/
エムトゥーメの災難/キース・ジャレットの言い分(以下次回)
さて新作はゲイリー・トーマス参加のライヴです。機関車トーマス入りはこれまで数枚出ていましたが、とにかく1枚残らず全部出していただきたい。はっきり言ってケニー・ギャレットより上です。そしてマイルスがトーマスをレギュラーで雇わなかったことは、帝王人生最大の痛恨事ではなかったかと思います。
87年2月26日、ニュージャージーでのライヴ。冒頭、レコーディングしている人物なのでしょう、ガソゴソという音が聴こえるが、全体的には許容範囲のオーディエンス録音といったところ。すでにトーマス入りライヴをもっている人にはあえて強く薦めかねますが、そもそもトーマス参加作は少ないだけに、この際、これもいっときます?
【収録曲一覧】
1 One Phone Call / Street Scenes-Speak
2 Star People
3 Perfect Way
4 Human Nature
5 Wrinkle
6 Tutu
7 Splatch
8 Time After Time
9 Full Nelson
10 Don't Stop Me Now
11 Carnival Time
12 Tomaas
13 Burn
14 Maze
Miles Davis (tp, key) Kenny Garrett (as, fl) Gary Thomas (ts, ss) Robert Irving (synth) Adam Holzman (synth) Bobby Broom (elg) Darryl Jones (elb) Vincent Wilburn (ds) Mino Cinelu (per)
1987/2/26 (New Jersey)