山尾:私の職場の近くの河川敷に青いテントを張って暮らしていた60代のホームレスの女性が殺害される事件がありました。容疑者は3人の中学生と無職の成人男性。取り調べた中学生は普通の子どもと変わらない表情で、なぜ周囲が犯行を止められなかったのか疑問に思った。無職の男は仕事がなく、居場所を求めて中学生らと結託して犯行に及んでいるし、60代の女性は殺されるまでそんな場所に居続けねばならなかった。教育の問題、若者の仕事の問題、社会のセーフティーネットの問題などが凝縮された事件だと感じました。

田原:政治家になって社会を変えたいと思ったわけだ。でも、4年ほどで検事をやめるのは早いと思いませんでしたか?

山尾:私、司法試験に6回落ちて、7回目にようやく合格したんです。社会人になったのが遅かった分、何か一つの職業を突き詰めてみたくて。検事より政治家と決めたからには、早くスタートしたかった。

田原:山尾さんなら自民党から出られたでしょう。

山尾:私、自民党に投票したことないんです。落選中も含め、これまで1ミリも自民党に行きたいと思ったことはありません。自民党は「自己責任」や「自助」を誇らしげにうたう政治。でも私が検事の世界で感じたのは、みんなが自分の努力の足りなさに対して自分で責任が取れるほど人は強くないということでした。自民党とは相いれない。

週刊朝日  2016年5月6-13日号より抜粋

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