コロッケは2個で750円。北海道産のメークインを丁寧に蒸しあげ、味付けは塩とコショウのみ。目の粗いパン粉をまとわせて、白絞油(大豆油)でカラリと揚げた逸品は、ざっくりした歯触りと、みっしりと濃密なジャガイモのコントラストが絶妙だ(撮影/写真部・東川哲也)
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コロッケは2個で750円。北海道産のメークインを丁寧に蒸しあげ、味付けは塩とコショウのみ。目の粗いパン粉をまとわせて、白絞油(大豆油)でカラリと揚げた逸品は、ざっくりした歯触りと、みっしりと濃密なジャガイモのコントラストが絶妙だ(撮影/写真部・東川哲也)
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犀門(さいもん)東京都新宿区新宿3-36-15 内野ビル4F営業時間 17:00~26:00(25:00L.O.)/日曜休み(貸し切りの場合のみ営業) (撮影/写真部・東川哲也)
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犀門(さいもん)
東京都新宿区新宿3-36-15 内野ビル4F
営業時間 17:00~26:00(25:00L.O.)/日曜休み(貸し切りの場合のみ営業) (撮影/写真部・東川哲也)

 著名人が生涯で最も記憶に残る食べものを紹介する本誌の新連載「人生の晩餐」。今回、作家の椎名誠さんが選んだのは「犀門(さいもん)のコロッケ」だ。

*  *  *

 子供のころ、仲良しに精肉屋のセガレがいて、当然のようにアダ名は「コロッケ」。で、なぜか僕がコッペパンの「コッペ」。コロッケパンはご馳走でした。

 で、大人になったら、コロッケの相方はビールになった。漫画家の東海林さだおさんとも意見が一致したんだけど、ビールには、揚げ物がいいんです。ここのコロッケはたたずまいも凜々しくてね。そこにソースと、辛子も「タップシ」。これ、大事! それがコロッケへの礼儀です(笑)。

 ここのオーナーとは、30年以上の友人でね。スタッフも僕に注文なんか聞きに来ない。まず生ビールと、見つくろったつまみが出てくる。で、頃合いになるとコロッケが登場。打ち合わせなどによくここを使いますが、そんな時は予定の30分ぐらい前に行って、一人で飲む。そのひとときが大事なんですよ。

 だから、人生の最後もここで、コロッケとビールをお供に、一人で生涯について考えたりしたいかな。あ、そんな大事な店、教えるんじゃなかったか(笑)。

■犀門
東京都新宿区新宿3‐36‐15 内野ビル4F
TEL:03‐5379‐2031
営業時間:17:00~26:00(25:00L.O.)
定休日:日曜(貸し切りの場合のみ営業)

週刊朝日 2016年5月6-13日号