熊本地震は前震が14日午後9時26分、本震が16日午前1時25分と、いずれも夜間に発生した。日中に比べ、より深刻な被害が出やすいとされる就寝時間帯の地震に必要な対策とは何だろう。防災に詳しい愛知工業大学地域防災研究センター元センター長の正木和明さんは、「健康な人でも、寝ている時に突然逃げることは困難。夜間の地震発生時の行動を決めておくべきです」と話す。
居室内でとっさに身を守る「シェルター」となる場所の確保が重要だ。例えばベッド脇は落下物の死角になりやすい。部屋を点検し、あらかじめ探しておく必要があるだろう。
今回の震災では、家屋倒壊で命を落とした人が多い。屋内と屋外どちらが安全かは、立地や地盤の状況などが違うため一概には判断できない。だが、1981年以前竣工の家屋は現行の耐震基準を満たしていない可能性が高く、正木さんは、
「建物内が不安だと感じたら、揺れが収まったタイミングで避難したほうがいい」
と助言する。正木さんは日ごろから、「暗闇でも逃げられる最低限の備え」として、枕から50センチ以内の場所に、懐中電灯、時計、ラジオ、靴、眼鏡などをまとめて置いているという。
圧死や避難路をふさぐ危険性のある大型家具を寝室に置かないことも肝要だ。元静岡大学防災総合センター長の里村幹夫さんは、
「タンスなどは一つの部屋にまとめるのも手です。頭上にあるエアコンや照明器具の設置が緩んでいないか定期的な点検も必要です」
熊本地震では避難所に寝泊まりせず、車などで過ごす「屋外避難者」が少なくない。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さんは、「安全な場所に止めていればプライバシーも守られるし比較的快適」としつつも、「エコノミークラス症候群に注意して」と呼びかける。