「同じ選挙区の長門市は安倍家の墓があるから、親父の墓参りに行くことはあるだろう。だが、長門市にも連絡事務所があるから、頻繁に往復しているとも思えない。安倍事務所にとまっている車は選挙カー1台と乗用車が2、3台程度です」
気になるのは、毎年、走行距離50万キロ分のガソリンを購入しながら、オイル交換が少ないことだ。収支報告書によれば、12年は3回、13年も3回、14年が5回となっている。損害保険代理店の元経営者が指摘する。
「普通は5千キロも走ったらオイル交換する。収支報告書にある自動車税と保険料の代金を見ても1台分です」
仮に10人のスタッフがフル稼働したとして、1人5万キロ、ひと月に4千キロ超だ。マイカーをほとんど業務に酷使しながら、オイル代など維持管理費は自腹なのか。政治資金に詳しい神戸学院大学法学部の上脇博之教授が厳しく批判する。
「1年間だけ支出が突出している山尾議員より、安倍首相のほうがよっぽど不自然です。説明しないのは無責任というほかない」
先の市議も首を傾げる。
「今年の市の名刺交換会に、下関の安倍事務所から秘書が7人来ていた。公設秘書を除いても、人件費が毎年計1300万円台とは安すぎます」
熱心な企業、団体が秘書給与を肩代わりしているのだろうか。あちらを立てればこちらが立たず。多すぎるガソリン代の真相は、闇のまま。尽きぬ疑問に自民党の元ベテラン秘書が一般論としつつ、こんな助け舟を出してくれた。
「ガソリンスタンドの後払いなら、後援会役員のガソリン代を負担していることもある。『協力してやるから燃料代くらい出せ』と」
総理、ご説明を乞う。(本誌・亀井洋志)
※週刊朝日 2016年4月22日号