セブン‐イレブンをゼロから起こし、日本最大の流通企業に育て上げた「ミスターコンビニ」が一線を退くことになった。
セブン&アイ・ホールディングス(以下7&i)の鈴木敏文会長兼CEOが周囲の反発に晒されながらも、数々の事業を成功に導いてきたのはあまりにも有名だ。
「宅配事業のセブンミールをスタートさせたのは、少子高齢化が深刻化する以前の00年。セブン銀行の前身・アイワイバンク銀行を設立してコンビニにATMを設置し始めたのが01年。鈴木会長の『ATMが店内にあると便利だよね』という一言がきっかけでした。この宅配事業とセブン銀行はともに、社内では『収益が見込めない』と猛反発の声が上がった。それを鈴木会長が強硬に推し進めた結果、今は重要な収益事業に成長。社内では会長を『預言者』と呼ぶ人もいる」(内部関係者)
伝説として語り継がれているのは、99年の「冷やし中華事件」だという。初夏の書き入れ時に向けようやく商品化にこぎつけた冷やし中華を試食した鈴木会長は「おいしくない」と一蹴。その後、商品開発担当者は11回も作り直し、ようやく会長のお墨付きを得たという。それが今や夏の看板商品に。そんな“鈴木イズム”を熱心に信奉するFCオーナーも少なくない。