守ってあげたい――。そんなふうに思うのは、どこか寂しげな笑顔のせいだろうか。憂いを帯びた美しさは1980年代から変わらない。
この春、舞台「魔術」に出演する。3人の男と1人の女による不思議な会話劇。中山美穂さんにとって、初めての本格的な舞台となる。
「舞台は20代の頃からやってみたかったのですが、チャンスがなくて。期待も不安も楽しみも、どれもものすごく大きいです」
昨年、デビュー30周年を迎えた。「あり得ないほど忙しかった」アイドル時代を経て、歌手・俳優としての地位を確立。パリに拠点を移し仕事をセーブした時期もあったが、いまも演技や歌への情熱は衰えない。
「10代、20代の頃はやめたいと思うこともありましたが、いまは求められる限り続けたい。演じることも好きですが、歌は心から楽しい。歌ってないと死んじゃうってくらい好きなんです」
歌について話をするときの笑顔は、ただ泣きたくなるほど美しいのでした。
※週刊朝日 2016年3月18日号