マイルスにライフタイムにムワンディシが1枚で楽しめる福盤
So What Unknown Collections Vol.6 (So What)
ソー・ホワット・レーベルの名物シリーズ『アンノウン・コレクションズ』も通算6枚目を迎えた。いつもスーパーかつ超貴重なアイテムのてんこ盛りに圧倒されるが、今回もまたすごい。マイルスはいうに及ばず、トニー・ウイリアムス・ライフタイムとハービー・ハンコックのムワンディシ・バンドときては、これはもう新春早々、たまりません(って結局は今年もそのパターンかいな)。では早速にご紹介といこう。
詳しい内容に関しては別表のデータをご覧いただくとして、まずは気になる音質だが、マイルスはオーディエンス録音で、それなりのクオリティ。ところがトニー・ウイリアムス・ライフタイムから極上のマスター・テープ状態となる。これには驚かされた。しかも演奏が熱い。ベルリン・ジャズ・フェスティヴァルにおけるライヴだが、ラリー・ヤング(オルガン)は当然として、ギターがテッド・ダンバー、ベースがジュニ・ブースという、これはもうここでしか聴けない顔合わせ。加えてトニー・ウイリアムスのヴォーカルが聴ける曲も入っている。正直、これはビミョーですが。おまけに《ライフ・オブ・ザ・パーティー》では、ラリー・ヤングのソロ・パートなのに思わず歌おうとしていますし。
演奏は4曲連続のメドレーで、約20分という熱演。トニーのドラム・ソロが「つなぎ」という贅沢な構成。最後は、おなじみの《イマージェンシー》で大団円となるが、オリジナル・ヴァージョンよりギターは軽く、しかしそのぶんトニーが叩きまくるというアレンジが新鮮で、ライフタイム、やはりすごいグループだったと認識を新たにする。
ハービー・ハンコックも超ド級のマスター・テープではありませんか。オランダでのライヴ。こちらもメドレーで30分を超える激しさ。冒頭の《トイズ》ではバスター・ウイリアムスのアコースティック・ベースの重厚なソロが登場、この音質が「本物のマスター」であることを証明する。やがてハンコックがエレクトリック・ピアノ、ビリー・ハートがブラシで突入、強力無比なピアノ・トリオが瞬間的に誕生する。そしてホーン・セクションが加わり、ああ、なんと詩情豊かな展開なのか。
次いでやってきました、大パーカッション大会、そして《スリーピング・ジャイアント》がドカン。この曲、ハンコックにとっての『ビッチェズ・ブリュー』か。意味もなく大仰な展開、たまりません。ドカドカ、チャカチャカと盛大に鳴り響かせ、「ここぞ」という瞬間に奔流の如き勢いで流れ込むテーマ・メロディーのかっこよさ。さすがの眠れる巨人も目を覚ますでしょう。途中で途切れるんですが。新春を飾る、福袋ならぬ福盤としてお薦めします。今年もいい年になりますように。
【収録曲一覧】
1 Bitches Brew
2 Spanish Key
3 I Fall In Love Too Easily
4 Sanctuary-The Theme
5 Life Of The Party-Big Nick-Changing Man-Emergency
6 Toys-Sleeping Giant (incomplete)
(1 cd)
1-4:Miles Davis (tp) Steve Grossman (ss) Chick Corea (elp) Dave Holland (b, elb) Jack DeJohnette (ds) Airto Moreira (per
1947-1957 (various places)
5:Tony Williams (ds, vo) Larry Young (org) Ted Dunbar (elg) Juni Booth (b)
1974/11/7 (Germany)
6:Herbie Hancock (key, p) Bennie Maupin (ts, saxello, fl, bcl) Eddie Henderson (tp, flh) Julian Priester (tb) Buster Williams (b)
1972/3/25 (Holland)