撮影では、台本通りのセリフやポーズを指示され、初めて会う男性とのセックスを、スタッフの前で何度も強要された。撮影は翌日も続いた。A子さんは「陰部に激痛を感じる」と訴えたが、そのまま強行された。

 想像していた以上の現場の進行ぶりに、ショックで放心状態になり、抵抗する力も奪われた。終了後、「この映像を多くの人が見る」と思うと、底知れぬ不安感と恐怖に襲われ、眠れなくなった。

 A子さんはその後も、プロダクション側に「AVの仕事は、どうしてもやめさせてほしい」と懇願。だが、そのたびに、マネジャーからこう言われた。

「あと9本撮影しないとやめられない」「違約金1千万円を払ってもらう」

 当初の違約金100万円が10倍に跳ね上がったのは、AV撮影初日の夜、新たな契約書にサインするよう指示され、それが10本分の契約だったからだ。

 契約書にサインするとき、そんな説明はなかったので、気づいたときは声も出ないほど、愕然とした。自分だけではどうしても抜け出せない泥沼にはまり込み、「死にたい」とまで思い詰めるようになった。

 そんなとき、インターネットで「AV」「違約金」と言葉を入れて検索すると、支援団体「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」(※)のホームページにこう書かれていた。

 ――AV出演の契約は効力を持たず、違約金を支払う義務はありません。

 夜中の2時過ぎ、A子さんは、すぐメールを送った。

「AVの仕事が断れず困っています。助けてください」

 15分後、PAPSの相談員から返信が届き、翌日から事態が急展開した。

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