前国会で最大の争点となった安保関連法は、反対世論の盛り上がりをよそに、ほぼ日程どおりに成立した。「国会議員三ツ星データブック」を発行するNPO法人「万年野党」の協力で本誌が調べた参院の質問回数ランキングで3位に入った、山本太郎議員は指摘する。
「安保関連法は、骨格は昨年4月に日米両政府で合意したガイドラインですでに決まっていた。同月には、安倍首相は米国議会で法案を夏までに成立させることを約束しています。野党としては成立の日程をできるだけ狂わせたかったが、数の力で9月に押し切られてしまった」
安保法案の採決では、世論の盛り上がりに押され、民主党や維新の党などの野党は反対に回った。だが、その実は足並みの乱れも目立った。当時、維新の党に所属し、衆院の質問回数ランキングでトップになった足立康史議員(現おおさか維新の会)は、民主党をこう批判する。
「国会の質疑で民主党は『レッテル貼り』や『揚げ足取り』ばかり。論戦に中身がなく、これでは安倍首相が強行採決したくなるのも無理もなかった」
その後、民主党との共闘路線などを巡り、維新の党は内紛が起こり、橋下徹前大阪市長を中心とした「おおさか維新の会」と分裂した。民主党も、与党時代に外務大臣を務めた松本剛明衆院議員が、法案への対応を批判して離党。野党が分裂を繰り返す「多弱」状態が続く。野党同士の対立は激しくなるばかりだ。