あさ役の波瑠。史実との比較も楽しみ方の一つだ (c)朝日新聞社
あさ役の波瑠。史実との比較も楽しみ方の一つだ (c)朝日新聞社

 NHK朝の連ドラ「あさが来た」が絶好調だ。12月には4日連続で25%超え(関東地区)を記録した。

 あさ(波瑠)と新次郎(玉木宏)夫婦のやりとりがさわやかだが、漫画家の小林よしのり氏の言葉が論争を巻き起こした。「妾の存在を描くべき」と言うのだ。

 あさのモデルである広岡浅子は男児に恵まれず、女中に夫の妾になるよう頼んだという。その妾の子がのちに浅子らが起こした大同生命の社長。今のところ、その史実は描かれていない。

「嫁姑問題もすぐ終わらせるなど、このドラマは毒を極力持ち込まないんです。見切りをつけるのが早い視聴者が少しでも不快に感じそうなことはしないのでは」

 そう語るのはドラマ評論家の成馬零一氏。一方で史実を完全に無視しているわけではないとも指摘する。

「あさが新次郎に妾を囲ってくれと頼むシーンがあったように、妾がこの世界には存在しませんよ、というやり方はしていない。史実を押さえたうえで、誰が見ても害がないようにしているんです」(成馬氏)

「あさが来た」制作統括の佐野元彦エグゼクティブ・プロデューサーは言う。

「あくまでフィクションなんです。たとえば五代友厚とあさの交流にしても“あってもおかしくない”という時代考証のご意見を得て台本を作っています」

 とはいえ“息子”の存在は後継問題として重要だろう。そこをどう乗り越えて描くかにも注目が集まる。

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