宮城県多賀城市で、全国三つ目の“TSUTAYA図書館”が建設中。2016年3月にオープン予定だが、ここでも新たな疑惑が浮上している。
仙台駅からJR仙石線で22分。多賀城駅を降りると、駅前に真新しい図書館が姿を見せる。市が、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に運営を委託した施設だ。
東日本大震災の被災地。「復興の象徴」としてにぎわい施設をつくろうと目玉になったのが、スターバックスコーヒーつきの“多賀城TSUTAYA図書館”だ。年間120万人の来館者を見込んでいる。
東北初の試みで注目されるものの、市とCCCとの間に“デキレース”と見られる動きを示す内部資料を本誌は入手。
市が、市立図書館の指定管理者候補者申請の受け付けを始めたのは、14年4月17日。指定管理者、随意契約先がCCCになると承認されたのは同年6月13日だった。だが、本誌が入手した13年7月26日の「CCCと今後の打合せ質疑応答」の文書を読むと、市はすでにCCCを指定管理者に内定し、水面下で計画を進めていたとみられるのだ。
どういう資料なのか。多賀城市議会の関係者が言う。
「佐賀県武雄市視察のために、図書館長と市教育委員会の職員計3人が13年7月25日と26日に1泊2日で出張したときの資料。2日分の報告書があるはずと議会で追及されたが、市教委はなぜか2日目は『図書館案内をされただけ』と言って隠し、1日目分だけを公開。その後、匿名で市議などに2日分の完全な文書が郵送され、存在が明らかにされた“隠蔽(いんぺい)”の証拠です」