「ESWLをおこなっても膵石が硬くて砕けない場合もありますが、約80%が成功します。膵石は細かく砕かれると、40~50%が自然に膵液で流れ出ます。自然に流れ出ない場合は、内視鏡を口から十二指腸に入れ、かごのような形のカテーテルを膵管の中に挿入し、膵石をかき出します」(乾医師)

 ESWLは、2013年から慢性膵炎を起こしている膵石に対して保険適用となった。以前は開腹手術で膵石を取り出していたが、現在はESWLと内視鏡治療が第一の選択肢となった。保険申請が通った体外衝撃波発生装置がある施設で、保険診療が実施されている。

 膵石症の内視鏡治療ガイドラインでは、5ミリ以下の膵石は内視鏡治療のみで除去し、それ以上の大きさのものにESWLを使うことが推奨されている。

 さらに、ESWLは膵臓の中央を通る太い主膵管にできた膵石に多く使用される。この部分にある膵石が痛みの主な原因となる。一方、膵臓の奥や細かく分岐した膵管にできた膵石は、内視鏡が届かないため除去が難しい。

「ESWLを使うには、内視鏡治療の環境が整っていることが条件です。厚生労働省が定める基準は、胆管や膵臓の内視鏡専門医が2人以上常勤していることです」(同)

 佐々木さんは、主膵管に詰まっていた膵石が除去され、痛みがなくなった。その後も禁酒を続け、再発を防いでいる。乾医師によると、膵石を除去しても、30~40%ほどの人に再び膵石ができるという。禁酒をしなければ再発率はさらに高くなる。

「慢性膵炎は一度発症すると、進行し続ける病気です。膵石を取っても、壊された細胞を治す根本的な治療にはなりません。痛みを軽減し、病気の進行をゆるめるのが治療の目的です。膵石が再発した場合も、まだ小さくやわらかい時期に発見できれば、内視鏡治療だけで除去できます」(同)

 膵石が多く、内視鏡治療をしても再発してしまう場合は、開腹手術をおこなう。

週刊朝日 2015年11月13日号より抜粋

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