中米にしてみるのも悪くない?
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 詩人、エッセイストの佐々木桂さんが、日本津々浦々に残る田園風景とその米を紹介する本誌連載「美し国、旨し米」。今回は、お米の“等級”基準から外れた「中米(ちゅうまい)」と呼ばれるお米について取り上げる。

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 米の等級というのは、1.9ミリ程度のふるいに残ったものが基準になる。ではふるいから落ちた米はどうなるのか? 実はここでもう一度ふるいに掛けられるのだ。今度は1.7ミリ。ここで残ったものは「中米」と呼ばれ、主食用で売っていいことになっている。ちなみにそれ以下のお米は、煎(せんべい)の材料、加工品の原料、家畜の飼料等に使用される。

 この中米、等級検査を受けられる規定のサイズには達していないから、産地、品種、収穫年度が明記できない。たとえば「魚沼産コシヒカリ」のようなパッケージで売ることはできないため、値段を高く設定しづらい。つまり安く買えるのである。

 しかし、その差はたったコンマ数ミリ。おいしい米を作る農家の中米ならマズいはずがない。信頼できる農家や米屋さんから手に入れるなら、中米にしてみるのも悪くはない。年間の家計も、ずいぶん楽になるはずだ。

週刊朝日 2015年11月6日号

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