絵本作家の塚本やすしさんによる『戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」』(朝日新聞出版)が11日、緊急出版された。
文は、京都大学の学生と教員を中心に結成された「自由と平和のための京大有志の会」の「声明書」を平易な言葉で書き直した「こども語訳」だ。
せんそうは 「ぼくが ころされないように さきに ころすんだ」 という だれかの いいわけで はじまります
前々から「日本は戦争を始めるのでは」と、危機感を抱いていた塚本さん。今年7月、こども語訳を知り、絵本にしようと決意した。
「安保法案が成立するかもしれない。その前に出版しようと、ほかの仕事を一時的にストップして集中して描きました。こんなことは、はじめて」
戦争を「やめて」と叫ぶ男の子、女の子の表情はみな違う。
1965年生まれで、母親から東京大空襲や戦時中の話をよく聞いていた。
「戦後70年たち、戦争を体験した人が減ってきました。伝え聞いた僕たちが、また次世代に伝えなければ」
塚本さんの本を手にした、子どもたちが戦争と平和を語り合う日を夢見る。
(本誌・小泉耕平、平井啓子、一原知之、牧野めぐみ、古田真梨子、永野原梨香)
※週刊朝日 2015年9月25日号