今年3月、国立がん研究センターが「全国がん罹患モニタリング集計(2011)」を発表した。がん診療施設などから協力を得て、各都道府県のがん罹患や死亡に関わる30項目について調査。比較的精度の高いデータが得られた39道府県について検討したものだ。
「この集計は16年から始まるがん登録に先駆けて行われているもの。罹患や死亡の比率などを調べることで、地域差は見えてきます」
こう話すのは、担当するがん対策情報センターがん統計研究部の松田智大氏。地域におけるがん対策、がん治療の“成績表”から東日本の特徴を読み解くと、こんなことがわかった。
まず、東日本で最もがんの罹患率が高いのは男女とも秋田県。がん死亡率は男性のトップは青森県、女性は北海道だった(下の表)。罹患率が高く死亡率が低い県は長野県、罹患率も死亡率も高い県は青森県だった。
がん種でも地域差があった。胃がんの罹患率は男女とも日本海沿いの県(秋田県、山形県、富山県など)で、肺がんは北海道で、大腸がんは青森県、岩手県、秋田県など北東北の県で高かった。肝がんは東日本全体的に罹患率が低い。
「喫煙や塩分摂取など生活習慣との因果関係についてはまだ不明な点が多いですが、胃がんでは塩分摂取量などの問題が関係していると考えられます」(松田氏)
◇東日本のがん罹患率・死亡率
罹患率(男女とも) 1位:秋田県 最下位:神奈川県
死亡率(男性) 1位:青森県 最下位:長野県
(女性) 1位:北海道 最下位:新潟県
(宮城県、埼玉県、東京都は除く)
※週刊朝日 2015年8月28日号より抜粋