再発を繰り返す卵巣がんは、近年、複数の治療薬の研究が進行中だという。東京慈恵会医科大学病院産婦人科主任教授で、国際婦人科癌学会および日本婦人科腫瘍学会常務理事の岡本愛光(あいこう)医師に今後の展望を聞いた。
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進行がんで見つかることが多い卵巣がんですが、初回の化学療法が奏効しやすいことから、治療薬の研究が進んでいます。
がん細胞の特異的な性質を分子レベルでとらえて標的とする分子標的薬では、現在導入されている、がんがもつ血管をつくりだす作用をブロックするアバスチン(血管新生阻害薬)とは異なる作用をもつ「PARP阻害薬(パープ・インヒビター)」という薬が治験中で、遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)の人の卵巣がんに効果が期待されています。HBOCは、特定の遺伝子に変異があって高率に乳がんや卵巣がんを発症するもので、卵巣がん患者さんの約1割はHBOCと考えられています。女優のアンジェリーナ・ジョリーさんがHBOCで、予防的に乳房と卵巣を切除したことが知られています。わが国でもHBOCの検査・遺伝カウンセリング・治療体制づくりが進行中です。