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「浅倉南、34歳!」のフレーズでブレークしたお笑い芸人・いとうあさこさん(45)。しかし、そのネタには苦情もあった……。

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 2003年にコンビを解散し、これからピン芸人としてどうやったら注目してもらえるかと考えたとき、部屋にコントで使っていた大量の衣装が残っていたんです。看護服、シスター服、CAの制服……その中からふと手に取ったのが新体操の競技用リボンでした。舞台でリボンを振り回しながら「浅倉南、34歳です!」とやってみたら、そこそこ受けて。

 4年後、1万人が集まるイベントで森三中の黒沢かずこからもらったレオタードに、カツラをかぶって扮したら、大盛り上がり。以来、テレビのお仕事をいただけるようになりました。

 時代も味方したのかな。ちょうど天海祐希さん主演のドラマ「Around40」が人気で。「アラフォー」という言葉が流行語になって、40前後の女が優遇されだしたんです。ただ、アラフォーの私がわき汗かきながら南ちゃんに扮するというのは、熱烈なファンにとっては不快だったでしょうし、新体操をやっている女の子から「大会でリボンをやると笑われるからやめてください」と苦情のお手紙をいただいたこともありました。私も子どもの夢を壊したくないので、「おばさんが何年もリボンを振ると思ったら大間違い。いずれ消えていくものだから、自分のリボンを振ってください」と返信しました(笑)。

 漫画を読ませてもらえなかった幼い頃、『キャンディ・キャンディ』と『タッチ』だけは全巻そろっていたんです。小中高と女子校の「雙葉」に通っていた私は、近所にふたりの男の子の幼なじみがいて、共有の勉強部屋があるという『タッチ』の世界に憧れました。カッちゃんの野球に対する情熱、タッちゃんの不器用だけど優しい感じが大好きでした。どちらかというと野球シーンがメインの後半より、幼なじみ3人の人間模様を描いた前半、カッちゃんが交通事故で死んじゃう7巻までが、私の中の『タッチ』なんです。

 でもまあ、大人になって、野球好きの男を好きになることが多かったのは、『タッチ』の影響なのかな。私の場合、付き合う男がヒモばかりだったので、中日ファンなら「東京中日スポーツ」、阪神ファンなら「デイリースポーツ」を毎朝買わされました。ここ6年は野球観戦もごぶさたです(笑)。

週刊朝日 2015年8月7日号