日米のハーフとして生まれ、東大、ハーバード大、マサチューセッツ工科大、エール大、プリンストン大、スタンフォード大、カリフォルニア大バークリー校……これらすべてに合格し、リベラルなジャーナリズムを追求するモーリー・ロバートソン。その活動に寄り添う妻・池田有希子は、一緒になるまでインターネットに触れたことすらなかったという俳優業。そんな二人が出会ったのは、取材がきっかけだ。
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夫:僕は当時、ポッドキャストという、インターネットの音声配信番組を一人でやっていたんです。
妻:その番組で、私の出演していた芝居の取材に来てくれたのが最初でした。
夫:ものすごく攻撃的で前衛的な作品だったよね。
妻:「皆に伝えよ!ソイレント・グリーンは人肉だと」っていう、タイトルからしてすごい(笑)。ドイツのルネ・ポレシュの脚本・演出で。あまりに前衛的で難解なのでプロデューサーがどうやって宣伝したらいいか悩んで、モーリーに取材を依頼したんですよ。
夫:リハーサルから取材したんですけど、初めて、こんにちはって入っていったら、彼女が舞台上にいて。「私、おしっこがしたい!」って、その場でおしっこする動作をしてた。衝撃でしたよ。何なんだこれは?って(笑)。
妻:宣伝の甲斐もあって、すごくたくさんのお客様が入ってくださって。舞台は賛否両論、たくさんの議論を巻き起こしながら大盛況。
夫:それで僕も皆と一緒に成功を祝って、わーって盛り上がって。その勢いで付き合い始めちゃった(笑)。