元外務省主任分析官佐藤優さん(55) (c)朝日新聞社 @@写禁
元外務省主任分析官
佐藤優
さん(55)
 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 安保法制の強行採決された。元外務省主任分析官の佐藤優さん(55)は、安倍政権の焦りをみたといい、その原因を分析する。

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 なぜ、このタイミングで強行したのか。今回の騒動から感じるのは、安倍政権の焦りでした。そもそも安全保障は、丁寧に議論すべき分野です。なのに乱暴に進めたために、異なる種類の議論が絡み合って、混乱に拍車をかけています。

 この安保関連法案の混乱の原因は、昨年7月に閣議決定された、憲法解釈によって行使が容認されるという「集団的自衛権」の議論に、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の話が混在している点です。集団的自衛権に、自衛隊は地球の裏まで行けるよ、とする話を無理にくっつけている。だから、誰も内容を理解できなくなっている。そんな状態ですから今回、安保法案が成立しても、実際の有事になった時には、誰も法案に基づいて自衛隊を指揮することはできないと思います。

 安倍政権の焦りの原因は、不安定な外交手腕です。日米同盟を軸に進めるべきなのに、プーチン大統領の訪日を実現させようとしている。少し考えれば、ロシア重視が米国との信頼関係を損なうとわかるはずです。まずは外交の基本姿勢を確認し、整理すること。そのうえで、安全保障について丁寧に、議論を進めてほしい。

週刊朝日 2015年7月31日号