スター・ピープル・イン・ヒューストン
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新刊目次とヒューストン・ライヴ
Star Peole In Houston (Cool Jazz)

 今週も新刊『さよならビートルズ』の告知宣伝を最初にさせていただきたいと思います。先週は「はじめに」を掲載させていただきましたが、今週は「目次」とまいりましょう。この目次によって、今回の本がどのような内容か、うっすらとわかっていただけるのではないでしょうか。個人的には、最後の「スティーヴ・ジョブズの遺言」は、音楽ファン、とくにアナログ派には絶対の読物になっていると思います。では目次です。

●第1章:マッカーサーとビートルズ
ビートルズがやってきた/ラジオの発信施設を開設せよ/すべてをリセットした終戦/基地が生んだ特殊な音楽環境/戦後ジャズ・ブームの実態/戦前と戦後を分かつ「聴衆」の意味/洋楽VS邦楽/外国VS日本の原点/本物が駆逐する”ニセモノ”のブーム

●第2章:エルヴィス登場
映画音楽の時代/エルヴィス登場/歌謡曲への変換装置としてのロカビリー・ブーム/和訳カヴァー・ポップス前史

●第3章:ラジオ・デイズとビートルズ前夜
栄光のラジオ・デイズ/ワールド・ミュージックの一大市場/エルヴィスとビートルズの間に生まれた空白の時代/ジャパニーズ・ポップス=Jポップの誕生/恋人は海の彼方に

●第4章:未知との遭遇1964
「ツイストろう」/現象として輸入されたビートルズ/理解されざる宿命/未知との遭遇1964/和訳ポップス時代の終焉

●第5章:日本人の選択
イギリスの侵略/大衆とマニアの分化/高度成長期の余波としての洋楽/日本人の選択/急がば廻れ/リヴァプール・ビートルズの衝撃/不良の音楽

●第6章:戒厳令のビートルズ
虚構の「ビートルズ世代」/顕在化した断層/戒厳令のビートルズ/ビートルズ来日が残したもの/ビートルズとヴェンチャーズから生まれた子供=GS/産卵場としてのGS

●第7章:分岐点としての『サージェント・ペパーズ』
新しい邦楽と聴き手の誕生/分岐点としての『サージェント・ペパーズ』/マニア化するロック/目覚めた日本人

●第8章:日本から洋楽が消える日
洋楽に優しい時代/「赤」と「青」のビートルズ/日本から洋楽が消える日/「洋楽離れ」の実態

●終章:エピローグ:スティーヴ・ジョブズの遺言
音楽的鎖国への道/スティーヴ・ジョブズの遺言/さよならビートルズ

 最後にマイルスの音源紹介を少し。今回はヒューストンでのライヴですが、ジャケットの綴りが思いっ切り間違っていて、笑うに笑えません。ここまで大きな地名ミスは最近では珍しいのではないでしょうか。それはそれとして内容は初登場にして強力です。オーディエンス録音ですが、この時期のマイルス・バンドにはこれくらい刺激的でとんがったサウンド処理のほうが合っているように思います。ともあれまずは『さよならビートルズ』をお買い求めください。そして余裕のある人はマイルス盤もどうぞ。というわけでまた来週(本の告知はいったん終了します)。

【収録曲一覧】
1 Come Get it
2 Star People
3 Speak
4 It Gets Better
5 Hopscotch
6 Jean Pierre
(2 cd)

Miles Davis (tp, synth) Bill Evans (ss, ts, fl, elp) Mike Stern (elg) John Scofield (elg) Tom Barney (elb) Al Foster (ds) Mino Cinelu (per)

1983/2/3 (Houston)