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 昔の原稿を整理していたとき、2011年正月に自分が書いた原稿の暗さに、驚いた。当時流行っていた「トイレの神様」を、かなり本気で気味悪く感じていたらしく、ぶつくさ書いているのだ。

 もうお忘れの方もいるかもしれないので、一応、おさらいしておきましょう。

 歌っていたのは当時28歳の植村花菜さん。「(トイレを)毎日キレイにしたら」「べっぴんさんになれるんやで」というおばあちゃんの言いつけを守り、「気立ての良いお嫁さんになるのが夢だった私は今日もせっせとトイレをピカピカにする」とのびやかに歌い上げる「トイレの神様」は、2010年の大ヒットソングとなり、自伝である同名の本も23万部売れ、紅白歌合戦にも登場した。……思い出しましたか?

 若い女性が、気だてのいいお嫁さんになりたい! 今日もトイレピカピカッ!と目を潤ませるように歌う姿は、私には衝撃的だった。しかも、面白がるのではなく、感動する声が大きいことに戸惑ったのだ。

 歌の大ヒット直後、この国は大震災を迎え、そして原発事故を起こし、政権は交代した。たった4年前だけど、まるで前世のように遠い。当然「トイレの神様」のことは、すっかり忘れていたのだけど、最近、「トイレ」の話、よく聞きませんか?

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