去年9月、国会で海江田万里氏の「生活に追われ苦しむ女性に、どのような施策を講じるのか」との質問に、総理がこう答えていた。「近く、全ての女性が輝く政策パッケージを取りまとめて参ります」。

 パッケージ……その言葉の軽さに驚いたものだけど、最近、このパッケージが具体的に始動していることがニュースになった。“すべての女性が輝く社会づくりと暮らしの質の向上”を目指して、有村大臣が「ジャパン・トイレ・チャレンジ」なる企画を打ち出したのだ。

 つまりはこういうことらしい。女性が輝くためには、生活の質の向上が大切→日々の暮らしにトイレは欠かせない→トイレは外交、成長戦略、防災、地方創生の観点からも重要(ごめんなさい。だいぶはしょりましたが、内閣官房の提言をざっくりまとめるとこうなります)、とのことで、名付けて、ジャパン・トイレ・チャレンジ……。

 有村大臣は、自らを「トイレ大臣」と呼んでもらってかまわないと明言し、日本のトイレを世界に広めていこう! という目標を掲げたそうな。

 もうこうなると、トイレを輝かせたいのか、女を輝かせたいのか、よくわからなくなってきた。というか、トイレを磨くと女も磨かれるという「トイレの神様」に、大臣、取り憑かれてしまったの?

 2010年「トイレの神様」大ヒットにも唐突感があったけど、トイレは突然浮上する。もちろんトイレはキレイな方がいいに決まってる。でも、女性政策と共にトイレが語られ、男女共同参画大臣が、トイレにチャレンジする国って、もはや神様に見放されてる気がします。

週刊朝日 2015年6月26日号

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