絶え間なく立ちのぼる気泡とジャスミンの香り、そしてまったりとした味わい。
「キザンスパークリング トラディショナルブリュット」は機山洋酒工業の土屋幸三さんが地元の甲州ブドウで造った。彼は甲州ブドウを使った発泡酒造りの先駆者だ。
土屋さんは、「家族や夫婦、友人同士のお祝いなど日常のちょっとしたハレの場でこそ、上質なお酒を飲んでほしい」と考えてきた。
そのために、シャンパンの本場である仏シャンパーニュ地方の伝統的な製法を選んだ。一本一本の瓶の中で発酵を進めて、酵母が生むガスをワインに封じ込めていく製法である。ワインにガスを注入して発泡させる方法より費用も時間もかかる。しかし、手間の分だけ泡はきめ細かくなり、口当たりは格段に柔らかくなる。
「香りや味わいの第一印象を強くすることよりも、飲み進めるほどに果実味が増すことを大切にしています」(土屋さん)
家庭の食卓で、開けてほしい一本だ。
※週刊朝日 2015年5月22日号