求心力を失うオバマ米大統領 (c)朝日新聞社 @@写禁
求心力を失うオバマ米大統領 (c)朝日新聞社 @@写禁
この記事の写真をすべて見る

 世界の国々は今、中国が起こすインフラ・バブルの波に乗ろうと、国際金融機関「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)への参加を表明している。取り残されたのは、強い拒否感を示すアメリカと、アメリカの顔色をうかがう日本。与党内から「日本は取り残される」といった懸念の声が上がっている。

 なぜ中国主導のAIIBになびくのか。

 各国の事情を垣間見ることができると言うのは、前「アジア開発銀行」(ADB)研究所長で東京大学公共政策大学院特任教授の河合正弘氏だ。

「ADB研究所などの試算によると、アジアでは10年から20年までの11年間で8.3兆ドル(約996兆円)ものインフラニーズが起こると予想しています。このうち世界銀行とADBがまかなっているのは1年間300億ドル(約3兆6千億円)程度。アジアでの膨大な需要に対して、世界銀行とADBだけでは支援が追いつかないのが現状なのです」

 さらに、世界銀行とADBが抱える事情もある。

 途上国にとっては、スピードこそ最も大事なポイントで、早く完成させるためには、資金がのどから手が出るほど欲しいのが実情。

 だが、世界銀行とADBは、環境や住民移転の影響評価など慎重に精査するのでインフラ建設を開始するまでに5年以上かかるケースもあるというのだ。

「これまで、援助を受ける側だった中国が経済的にも成長した。そこで新しく途上国を支援する金融機関を立ち上げ、途上国の受け皿にしようと考えたのです」(河合氏)

 その先には、ドルに代わって「人民元」を基軸通貨にしたいという思惑までもが見え隠れする。

 信州大学経済学部の真壁昭夫教授が言う。

次のページ