勝利して会見に臨む久美子氏(撮影/写真部・松永卓也)
勝利して会見に臨む久美子氏(撮影/写真部・松永卓也)
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 決戦は桜も咲き始めた3月27日金曜日午前10時――。よく晴れて海風の気持ち良い日だったが、株主総会会場である東京都江東区の大塚家具本社近くは、テレビクルーや記者で溢れ異様な雰囲気に包まれていた。

 壮大な親子ゲンカの歴史をさかのぼると、2009年に創業者の大塚勝久氏が社長職を久美子氏に譲ったものの、昨年7月、再び、社長の座を久美子氏から取り戻して復帰したことからはじまる。

 すると、今度は久美子氏が1月28日、社長の座を奪還し、勝久氏を取締役から外すことを株主総会に提案。勝久氏は自身を取締役にして久美子氏を外すという株主提案を出した。総会までに、株主が株式数に応じて持っている議決権を多くとったほうが勝つ。委任状争奪戦、つまり、株主を巻き込んだ親子ゲンカの勃発だ。

 どちらにつくか。大塚家は真っ二つに割れた。

 勝久氏側に、長男の勝之氏と、妻である千代子氏がついた。株の持ち分は合わせて約20%。

 久美子氏側には次女、三女夫妻、次男がついた。株の持ち分は、大塚家の資産管理会社「ききょう企画」の約10%とともに、久美子氏に近い米投資ファンド「ブランデス・インベストメント・パートナーズ」の10%と合わせて約20%。

 拮抗している状況に、金融機関などの大株主と個人投資家がどちらにつくか注目されていた。60代の個人投資家は言う。

「久美子氏側からと勝久氏側から3回ずつ、『票を入れてくれ』って電話がかかってきましたよ。さながら、選挙のようでしたね」

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