福島第一原発の汚染水タンク。事故から4年経っても、事態をコントロールできていない (c)朝日新聞社 @@写禁
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 東日本大震災から4年にあたる3月11日、福島県会津地方は季節外れの大雪に見舞われた。

 在来線が運休し、高速道路や国道も通行止めとなる混乱の中、喜多方市のイベント施設は約1千人収容の席が9割方埋まる異様な熱気に包まれていた。小泉純一郎元首相(73)が地元の太陽光発電会社・会津電力の招きに応じ「日本の歩むべき道」と題した講演のため訪れたのだ。

 大雪を避けて東京から山形・米沢経由で会津入りしたという小泉氏は、天気と同じく荒れていた。ジョークを交えて聴衆を引きつけながら話すいつものトーンと比べると、表情は厳しく、口調には強い怒りがにじんでいた。

「『汚染水はコントロールされている』と、どなたかが言っていましたが、全然、されてないですよ。よくもあんなことが言えるなと。あの(汚染水の)タンクをどうすればいいのか。作業員の防護服は放射線が出るから燃やすこともできない。捨て場も決まっていない。そんな中にあって、最終処分場は政府が決めると言う。本当に呆れちゃいますよ」

 これまで遠回しに批判することが多かった安倍晋三首相へのいら立ちを隠そうともせず、「呆れる」とまで言い放ったのである。

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