イスラム国が人質解放のために要求したのは約235億円と巨額で、支払期限はわずか72時間だった。日本政府は身代金の支払いを拒否したが、ある銀行関係者はイスラム国の要求をいぶかしむ。
「この話を聞いたとき、直感的にできないだろうと思ったんです。まず海外送金が難しい。海外に送金するなら、日本の銀行とイスラム国が口座を持っている銀行がシステム上、取引できるようにつながっていなければなりません」
国連によると、イスラム国は誘拐ビジネスで年間50億円近くを稼ぐ。資金源を断とうと、国連安全保障理事会は昨年1月、テロ組織に身代金を支払わないよう求める決議を採択した。
「3日以内に使い古したドル札を民間銀行からかき集められるのか。できないなら、金の延べ棒にするのでしょうか」(前出の銀行関係者)
西アフリカ・ニジェールで2010年に起きた誘拐事件では、仏が1700万ドルをマリ政府経由でアルカイダに支払ったという。
身代金の受け渡し方法について、国際金融に詳しい元銀行役員は言う。