渡辺:和があるから、色々なものを合わせて認めることができるわけですね。

川上:最近、私が海外で講演する際は、「忍術は和の実践」という言い回しを使っているのですが、そうやって忍者の心や精神、日本の心を世界に伝えていければと考えております。

伊室:また、倫理的な正心は、正義とも言い換えられますよね。

川上:そうです。戦いの場で敵をやっつけても、そこに正義や大義がなければ、単なる個人の欲望になってしまいます。

伊室:正心は、良いか悪いかですものね。でも、どうも今は一人ひとりの意見を聞きっぱなしで、それを好きか嫌いか、損か得かを考えることのほうに傾いていっている気がします。一人ひとりの考え方は大事ですけど、組織でも集団でも一本筋が通ったものがなかったら、まとまりませんよ。(構成 本誌・小倉宏弥)

週刊朝日  2015年2月6日号より抜粋