ドラマ「太陽にほえろ!」(1974年)でデビューして以来、俳優として活躍する勝野洋と手芸家として活躍するキャシー中島夫妻のつきあうきっかけは意外なものだった。初めて同席してお酒を飲んだとき、気がつくと2人だけに。さらに店を変えて飲み、夜明けが近く、タクシーに同乗した。

妻「家が近づいたところで、私がなんとなく言ったんです。『、好き? うちにかわいい猫がいるんだけど、見ていかない?』。そしたら、『好きだよ、見たい』って。ところが、勝野さん、家に着くと同時に酔いつぶれてしまった(笑)」

夫「あのとき酒さえ飲まなければ(笑)。猫が好きなのは本当なんですよ。僕は猫だけじゃなくて、生き物はみんな好きで、子どものころはカエルをポケットに入れたり、ヘビを首に巻いたりして遊んでいた」

妻「彼はそのまま寝ていたから、私はメモを残して仕事に出たんですけど、夕方帰宅したらまだ寝ているじゃありませんか。仕事が心配になって、『勝野さん、勝野さん』と声をかけたんです。そしたら、ぱっと跳び起きて、『え、ここはどこ。なんでここにいるの』。続けて、『俺、なんかした?』と言うので、私は『やだあ』と言ったんです。何もするわけないじゃない、という意味で。ところが彼は、なにかあっての『やだあ』だと思い込んだのね(笑)」

夫「ああ、あの日、酒さえ飲まなければ……。何度でも言います(笑)」

妻「『仕事、大丈夫だったの』と聞いたら、『うん、今日はない』って。じゃあ、ごはん作るわねと。そのころ私の料理なんてサケを焼くくらいだったんですけど、それを食べて、そのまま居ついてしまった」

夫「家に上がり込むきっかけになった猫は、2匹いたんだよね。オスがやきもち焼いて、僕におしっこひっかけてばかり(笑)」

妻「つきあえばつきあうほど、真面目な人だとわかったんだけど、友達には言われました。『よく平気であんな真面目な人とつきあっているわね。飽きないの?』って(笑)」

(聞き手・由井りょう子)

週刊朝日  2015年1月16日号より抜粋