いよいよ1月1日から「相続大増税」がスタートする。残された家族が平和で、かつ安心して暮らしていくためには、相続開始から納税までの10カ月間が勝負だ。
来る日に備えて何ができるのか? 相続税でもめないためにしておきたいこととしては、下記6項目が考えられる。
・家族の間でコミュニケーションをとっておく
・財産や生前贈与はオープンにする
・寄与や介護の役割分担の情報を共有する
・遺産分割でもめないように遺言書を用意する
・資産のすべてを把握して、関係書類や印鑑を一つにまとめておく
・持ち家があるときは、登記簿謄本、固定資産の評価証明書などの書類をそろえておく
相続人が誰なのか全て把握することも大切だ。相続人がすべてわかったら、相続できる財産を調べて一覧表にすることもお勧め。その上で、借金が残されていることが判明した場合はどうしたらいいのだろうか。また、親に遺言状を書かせるにはどうしたらいいのだろうか。相続のプロに聞いた。
Q 借金も相続しなければならないのか
財産のすべてがわかったら、「相続するかどうか」を決める。借金も財産に含まれることを忘れずに。財産も負債もそのまま引き継ぐ「単純承認」、財産の範囲内で引き継ぐ「限定承認」、そして、財産も負債も一切引き継がない「相続放棄」の三つがある。「限定承認」と「相続放棄」を選択する場合、相続が発生した時点、つまり死亡日から3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要がある。
「3カ月以内に家庭裁判所に申し立てをしなかったら自動的に『単純承認』の扱いになります。なお、『限定承認』は相続人の全員が同意しなければできません。手続きが煩雑なので活用するケースはごくまれです」(東京弁護士法律事務所代表の長谷川裕雅さん)
Q 親に遺言を書かせるには
亡くなった後の話をするのは不謹慎だと思い、相続の話を敬遠する家族も多い。
家族会議は、離れて暮らしていると難しいが、家族が集まる年末年始やお盆休みのときなどにぜひ実践してほしいというのは、相続コーディネーターの曽根恵子さんだ。
「どんな財産があるのか、家族が集まったときに、みんなに伝えておきましょう。一人の家族にしか伝えていなかったことがトラブルのもとになります」
生前対策も家族みんなで話す。そのとき、「介護で世話になったからその分残したい」など「寄与分」も伝えたほうがいいだろう。
残された家族が円満に暮らすためにも、生前に対策を立てておきたい。
※週刊朝日 2015年1月2―9日号より抜粋