毎日のように報じられる“政治とカネの問題”について、作家の室井佑月氏が根本的な解決策について、こう提案する。

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「政治とカネ」の問題が続出している。自民党の小渕前経産相や宮沢経産相、望月環境相、民主党の枝野幹事長。ほかには維新の党の江田共同代表の問題も出てきたな。

 このほかにも名前があがっている議員が複数いる。毎日、誰かの政治とカネの問題が……。

 こうなってくると疑問なんだが、まともな議員なんているの? あの人たち、カネの出所は我々国民の血税だってわかってんのか?

 この状態の中、安倍総理が自らに近い議員に「撃ち方やめになればいい」と発言したと10月30日、複数のメディアが報じた。29日の昼食会でそう話したと。つまり、野党だっておなじだろ、もうこの件で責めてくんな、ってことだ。

 で、30日の衆院予算委員会で民主党の枝野幹事長が、安倍首相に質問した。

「『撃ち方やめ』と本当に言ったのか」と。

 すると安倍さんは、

「今日の朝日新聞ですかね、『撃ち方やめ』と私が言ったと。そういう報道がありました。これは捏造です」

 だってさ。その後、会場から笑いが起こった。なぜ笑う。イヤな感じ。

 ま、実際のところ、「撃ち方やめ」という言葉は、昼食会の別の出席者の言葉だったらしい。だが、29日の昼食会は、そのような内容の話で盛り上がったのは事実だ。読売、毎日、日経、産経の全国紙のほか、JNNでも記者が取材し、おなじことを報じていた。朝日だけ叩かれたけど。

 つーか、「捏造」と騒ぐほどのこと? じゃ、安倍さんが集団的自衛権行使の必要性を国民に訴えるときに会見で使った、お母さんが赤ちゃんを抱いているパネル、あれは捏造じゃないのか。米艦で邦人救出なんて、ありえない事例じゃん。

 ま、そんなことはどうでもいい。あたしがいいたいのは、政治とカネの問題が野党からも出てきているからといって、「撃ち方やめ」なんかにしては絶対にならないってことだ。

 みなさんだって覚えているでしょ。たった0.5%の生活保護の不正受給者がいることで、生活保護受給者全体が、あれほど叩かれたことを。

 生活保護費と政治資金、出所はおなじ国民の税金。しかし、金額がえらく違うよ。

 民主も民主だ。せっかく今期の予算委員会では大臣の首も取っていい感じで戦っていたのに、ここに来てエース枝野のカネの問題ってどうよ。本気で安倍政権を倒したいという気持ちがあるのなら、海江田代表は枝野さんを党から追い出すくらいすればいい。カネの問題が出てきたやつはみんなスッパリ切ってまえ! ……あ、海江田さんは大丈夫なのか。大昔、なんとか牧場の話が出てたよな。

 ほんとうに政治家が政治とカネの問題を解決したいと思っているなら、政治資金に透明性を持たせるような法改正をすればいいだけ。けど、そうしない。まともじゃない、臑(すね)に傷のある人ばっかだから。違うか?

週刊朝日  2014年11月21日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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