文筆家の北原みのり氏は、東京都議会のセクハラヤジ問題は根深いという。

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「早く結婚したらいい」のヤジが問題になった東京都議会で、先日、「男女共同参画社会推進議員連盟」の会議が5年ぶりに開かれた。もちろんセクハラヤジ再発防止につなげるためだ。

 それなのに、新会長に就任した自民党の野島善司議員、記者に囲まれて、

「(結婚したらどうだ、と)僕だって言いますよ、平場では」

 と言ってしまった。プライベートなことを議会で言ったのが問題であって、発言内容自体は問題ではない、ということらしい。オレの辞書に「セクハラ」はない、という強気を感じるご発言。

 野島議員はこうも話している。「雌鳥が時を告げると、世の中がおかしくなっちゃうと言う人もいる。いろんな人生観があって、男女共同参画社会ができあがっている」と。雄鳥が時代錯誤な時を告げたために社会問題になってしまった事実を、すっかりお忘れのようです。

 彼に言わせれば、女性蔑視も「一つの考え」だ。人生いろいろ、男もいろいろ、女だっていーろいろ。で、そんないろいろで「男女共同参画社会ができあがっている」って言うけど……できあがってねーから。

 男女共同参画社会とは、野島議員の言う「人生いろいろ」な“お花畑”ではない。「男女の差別をなくし」ってハッキリと内閣府が明文化している、強い意志が必要な社会のこと。男社会でぬくぬくと生きてきたオジサンの意識改革が問われる、オジサンには厳しい社会のこと。男女共同参画社会推進議員連盟会長に就任するくらいなら、せめて内閣府のHPを見ておくべきだった。「『男女共同参画社会』って何だろう?」という、わかりやすいページありますから。

「僕らがサラリーマンの頃、女性に平気で(「結婚しろ」と)言ってたよ。もう40年以上前だ」と野島議員は言ってたけれど、そういう時代がつらすぎたから、女たちが声をあげてきた。男から見えている世界と女から見えている世界は、時に全く食い違う。野島議員には想像力を働かせ、人生いろいろ、女もいろいろ、と本当の意味で受け止められるオジサンになってほしい。というか、男女共同参画議連会長、辞めてほしい。

週刊朝日  2014年10月3日号