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なぜエクセルなのか──そう聞くと、堀内辰男さんは、「誰もやっていなかったから」と、ほほ笑みながら答える。
医療器具や文房具などを設計するエンジニアとして働いていた堀内さんは、定年を迎えた14年前にパソコンを購入した。
「エクセルで図やグラフを描けることは知っていたので、それなら絵も描けると思った」
電源を入れて、何もわからないまま操作し続けているうちに、線を描けること、色を塗れることがわかった。初めて描いた一輪の君子蘭には30分かかった。
それから、ほぼ毎日、マウス片手にパソコンの画面に向き合い、2006年にはパソコン画のコンテストで大賞を受賞。いつしか、「エクセル画のパイオニア」と呼ばれるようになった。
今後の目標は、エクセルを使いながらも、画家として評価される絵を描くこと。
定年後に花開いたエクセルアーティストの挑戦は続く。
※週刊朝日 2014年7月25日号