日本で誕生した「ゴジラ」には反核メッセージが込められていた。それから60年、世界で公開中のハリウッド映画「GODZILLA ゴジラ」にも、東日本大震災や原発事故を思わせる場面がある。
「今も月1ぐらいで気仙沼に行っています。結局、震災や原発事故から教訓にしなければならないことが、風化しつつあることに危機感があるんです。だからエンターテインメントの映画として見てもらって十分だけど、一つ違う手触りというか、心の中にひっかかるものを汲み取ってもらえたら、僕も参加した意味があると思います」。同作品で科学者を演じた渡辺謙さんはいう。
海外で活躍しながら見つめる日本は「分析と検証能力が弱い」。だからこそ、繰り返してしまう。W杯も戦争も原発も、そうだという。
ゴジラより年下の54歳。年を重ねるごとに魅力が増す。格好よさとは何か尋ねると、こう答えた。
「僕らには言葉があり、観念があり、ビジュアルだけではないいろんなものを捉える力があるから、それをもっと信じるべきだと思う。だから年齢じゃないし、奇麗に磨き上げることだけではない気もするんだよね」
※週刊朝日 2014年7月25日号