ファッションデザイナー 鳥居ユキ(とりい・ゆき)1943年、東京都生まれ。61年、文化学院卒業。62年、母・君子のショーに初参加し、作品を発表。71年、株式会社トリヰを設立。75年、パリコレクションに初参加し、その後2008年まで連続して参加。76年と88年に、日本ファッション・エディターズ・クラブ賞(FEC賞)受賞。85年、パリのギャラリー・ヴィヴィエンヌにブティックをオープン。95年、毎日ファッション大賞受賞。著書に『YUKI TORII STYLE BOOK』(朝日新聞出版)がある(撮影/写真部・工藤隆太郎)
ファッションデザイナー 鳥居ユキ(とりい・ゆき)
1943年、東京都生まれ。61年、文化学院卒業。62年、母・君子のショーに初参加し、作品を発表。71年、株式会社トリヰを設立。75年、パリコレクションに初参加し、その後2008年まで連続して参加。76年と88年に、日本ファッション・エディターズ・クラブ賞(FEC賞)受賞。85年、パリのギャラリー・ヴィヴィエンヌにブティックをオープン。95年、毎日ファッション大賞受賞。著書に『YUKI TORII STYLE BOOK』(朝日新聞出版)がある(撮影/写真部・工藤隆太郎)
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鳥居ユキさん(右)と林真理子さん(撮影/写真部・工藤隆太郎)
鳥居ユキさん(右)と林真理子さん(撮影/写真部・工藤隆太郎)

 1975年の初参加から2008年までパリコレクションに連続で参加し、数々の賞も受賞しているファッションデザイナーの鳥居ユキさん。作家の林真理子さんとの対談で、デザインへの情熱を明かした。

*  *  *

林:素敵な本(『YUKI TORII STYLE BOOK』)をお出しになったんですね。お仕事からプライベートなお写真まで満載で。今日、美容院で見ていたら、美容師のお兄さんが「カッコいいなあ。鳥居先生、きれいだなあ」と言ってましたよ。こんなに絵になる方はめずらしいですね。

鳥居:そんなことないですよ(笑)。

林:そんなに若くないけれどおしゃれをしたい、でも何を着ていいのかわからないという女性のための、着こなしのお手本帳になりますね。

鳥居:本のために変えたりしないで、いつもの格好そのままを撮っているの。

林:体形を維持してらっしゃるのもすごいです。

鳥居:だけど私、仕事をするとずっと座ったっきりでしょ。ほんとに運動しないの。主人がスマホに歩数計をセットしてくれたんですけど、たった96歩とかなの(笑)。だからせめて、ちょっとストレッチをしてるんです。

林:鳥居さんのお洋服って、上品なのに色彩がどこか個性的でかわいらしいんですよね。

鳥居:そうね。男性のデザイナーは建築的なフォルムを重視するのかもしれないけど、私は絵画的で色や柄ですね。

林:(何冊もの色見本帳が載っているページを指して)デザイナーさんって、こんなふうにお仕事をなさるんですね。色見本帳をこんなに集めて……。

鳥居:こんなもんじゃないのよ。もう、(両手を広げて)こーんなにあるの。それでも全然足りなくて、膨大な量を見るんです。

林:もう、こだわりなんて言葉では言い表せないですね。

鳥居:“これ”というものが見つかるまでは、しつこいですよ。出し惜しみなんてしないで、一回一回、持っているものは全部出し切ろうと思っているんです。

林:そうでなければ、これだけのお仕事はできませんよね。コレクションのリハーサルで、鳥居さんご自身がウオーキングをされている写真もありますが、これもカッコいいですね。パリに進出なさったのは、いつごろですか?

鳥居:……私、そういうのわからなくて。(同席のスタッフに向かって)何年? 

スタッフ:1975年です。

鳥居:ですって(笑)。パリと東京、ずっと両方やってきましたけど、数年前にパリコレはやめたの。ブティックはいまもありますよ。長いお客さまがいらっしゃるので。

林:パリで撮られたお写真を見ると、すっかり風景に溶け込んでいらっしゃいますね。

鳥居:東京とパリ、二つ生活があるような感じで、とてもよかったですね。東京にいるとせわしなくて、どんどん仕事をしなくちゃいけないけど、パリでは生活しながら仕事をするという感じで。

週刊朝日  2014年7月11日号より抜粋

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