文筆家の北原みのり氏は、男は「女子会」を誤解していると憤る。その理由とは?

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 昔から女たちは集まり、時を忘れるように会話を楽しむ……という習性があると思うのだけれど、近年そういった活動に「女子会」という名が与えられ、あの豊かで自由な時間が矮小化されているような気がするのは、私だけでしょうか。

 先日、知人の男性に「これから友だちとご飯を食べに行くんです」と言うと、「女子会ですか」と、どーでもいいことを言うので、「はぁ」とため息をつき、つい言ってしまった。

「女子会で、女たちは何を話してると思います?」

 責めているように聞こえたのか、彼もちょっとびくつきながらも、「え……? 女たちが集まって、フツーに男の話をするんですよね?」と、うすら笑いを浮かべる(←ように見えた)のだった。

 で、その瞬間、私は常々感じていた「女子会」という言葉への違和感がついに飽和状態を迎えてしまった。

「あのね、女が集まれば自分たちのこと話しているのだと思えるなんて、傲慢じゃない? 恋愛の話なんてね、一部、だよ。男の話なんてね、一部。っていうか、女友だちとの会話で、恋愛話は最も退屈な会話の一つですからっ!」

 すると男は、なるほどですねぇ、と頷き言う。

「確かに女性はとりとめなく、結論を導くことなく話し続けられますもんねぇ。ケーキの話だけでも、延々と話していますものね」

 ……ケーキの話? 男の話じゃなければ、スイーツ? 結論を導かないのが女の会話? そもそも会話って、着地点をさまよいながら思いも寄らぬ方向に行くのが楽しいんじゃねーの? と、色々と引っかかりながら、その人との会話で、私は貝になりました。

 その後、女友だちと集まって私がさんざんしたのは、男の悪口でした。中年女たちが集まって酒飲みながら、恋バナなんか、しませんって。しかも、男の悪口にネタはつきないんです、残念ながら。上司に同僚に夫に、さっき出会ったばかりの「女はスイーツ話延々しますよね」男にと。出てくる。出てくる。ああ、怖いですね。女子会というより、もはや魔女会。刺激と毒に満ちていて、女にはとても楽しい時間です。

週刊朝日  2014年6月6日号