師走最初の日曜日の朝、中央自動車道上り線の笹子トンネル(山梨県)で、天井板と隔壁などが崩落する事故が起きた。
今回の事故では、トンネル上部のコンクリートに打ち込んでいたボルトが抜けたことで、つり金具が外れ、天井板などの崩落が起きたとされる。ボルトが抜けた原因は調査中だが、中日本高速道路の吉川良一・専務執行役員は会見で、
「経年劣化についても原因としては考えている」
と述べた。
国交省の調べでは、全国の高速道路にあるトンネルは1575本。うち、事故のあった笹子と同じ築35年か、それ以前に作られたトンネルは183本ある。
つり天井型のトンネルに限ると、開通が最も古いのは関門の1958年だ。今年54歳。着工は、第2次大戦開戦の39年までさかのぼる。2番目に古い羽田は、東京五輪の年の開通だ。
笹子は6番目の古さだった。笹子に関しては「加齢」に加え、気がかりな経歴もある。開通前年の76年に、日本道路公団(当時)によるトンネル新設工事について調査した会計検査院から、
「施工が設計と相違し、その一部の強度が設計に比べて低くなっていると認められる」
と指摘されていたのだ。
同院は、この時期にトンネル建設などの事業が増え、同公団の人手不足によって監督や検査が適切でなかったと分析。笹子を含む13トンネルの工事について、強度不足が確認されたとした。
※AERA 2012年12月17日号