御朱印は通常、手のひらサイズに寺社の名前と日付などが毛筆で書かれ、朱色の印が押されたもの。いま、この御朱印の収集が密かなブームを呼んでいる。

「いかにもお金持ちになれそう!」という御朱印をもらえるのは鳥取県日野町の金持神社。金運祈願は鳥取市の茂宇気(もうけ)神社も同様で、印の真ん中に「もうけ」と書かれている。

 押印がユニークな東京都港区の烏森神社。四隅にそれぞれ赤、青、緑、黄色と色の違う社紋が押されている。滋賀県大津市の三尾神社は、縁があるウサギの押印つき。招き発祥の地として知られる東京・浅草の今戸神社は、かわいらしいペアの招き猫印が特徴だ。

 歴史好きの人にはたまらないのが京都市の建勲(たけいさお)神社。戦国時代の武将・織田信長が祀(まつ)られており、御朱印には「天下布武」の押印が。同じ京都市で豊臣秀吉を祀る豊国神社は豊臣家の家紋、徳川家康の日光東照宮(栃木県日光市)は徳川家の家紋である三つ葉葵となっている。

 変わり種は米国ハワイ州のハワイ出雲大社。なんと「ALOHA!」と勢いよく英語で書かれ、見ているだけで陽気な気分になれる。日付も英語だ。

 ところで基本的に手書きなので字のうまい下手ってあるの?

「天満宮系は達筆が多い。なんといっても、祀られているのが学問の神様・菅原道真公ですから」と「御朱印の会」を主宰する嶋啓祐さん。

 佛教大学の八木透教授は「一般的に、神社はスッキリ単純。お寺のほうが筆遣いがダイナミックでこなれている」とみる。その昔、御朱印は寺に写経を納めた証しだったので神社よりも歴史が古い。そのうえ僧侶は戒名や卒塔婆を毛筆で書き慣れている。「佛教大学でも書道は必須です」(八木教授)

週刊朝日  2014年4月11日号

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