大増税時代がはじまった。所得税、消費税、相続税……国民の負担はこれから増えるばかりだ。とはいえ、救いの手がないわけでもない。実は、会社員でも仕事に必要な技術や知識を得るために支払ったお金であれば、確定申告で「特定支出」として計上できる。清新税理士法人の白井いづみ税理士は言う。

「『特定支出控除』は以前からあった制度です。ですが、これまでは申告までのハードルが高くて、毎年数人しか利用できないようなものでした。それが税制改正で昨年の使用分から認められる経費の種類が広がり、申告できる金額の基準も大幅に下がりました。今年2~3月の確定申告で、最も注目されている制度です」

 昨年分からは、仕事で必要なら「資格取得費」「図書、衣服の購入費」「得意先への接待費」も算入できるようになった。これまで自腹を切っていた英会話教室代やスーツ代、取引先との飲み代なども、レシートがあれば確定申告で取り戻せる可能性が出てきたのだ。

 控除を受けるには「特定支出」の総額が給与所得控除額の2分の1を超えなければならない。その超過分に限り、給与所得から差し引くことができる。年収が1500万円を超えると、125万円以上あれば控除できる。

 注意点は、「特定支出」は勤務先に必要経費であると認めてもらわなければいけないこと。

「今年の確定申告の期限は3月17日です。会社の経理担当も制度改正に慣れていないと思うので、早めに領収書を準備して、会社に説明しておいたほうがいいでしょう」(同)

 土屋会計事務所の代表で、ファイナンシャルプランナーの土屋裕昭税理士は言う。

「控除が認められて課税対象となる所得額が減ると、所得税だけではなく、住民税や健康保険料も連動して減額されます。払いすぎた税金を戻してもらうための基本は、控除漏れがないかをしっかり確認すること。一つでも控除を増やせれば、節税につながります」

週刊朝日 2014年1月17日号