10月29日に召集された臨時国会では、のっけから各党の代表が早期の衆院解散・総選挙を迫ったが、野田佳彦首相(55)は「解散の密約はなかった」と突っぱね続けた。こうした状況の下、次の衆院選で100人前後の候補者を擁立する予定の小沢一郎氏は、最終的に大胆な選挙戦略を描いているようだ。

「選挙が来年夏まで延びれば、日本維新の会を中核とした第三極の新鮮さは消え、先細りになると小沢さんは読んでいる。維新にしても、石原新党やみんなの党にしても、組織は脆弱で、資金も潤沢ではない。それなのに、維新を率いる橋下徹大阪市長(43)は大風呂敷を広げ、全選挙区に候補者を擁立すると公言している。ダブル選になったら、衆参両方で候補者を立てなくてはならないので、相当厳しくなる。うちは小沢さんが選対委員長だから、時間があればあるほど準備が整うけどね」(小沢氏の側近)

 くだんの「第三極」では、小沢氏を敵視する石原慎太郎氏(80)が10月末、東京都知事の職を投げ出し、新党を結成して橋下氏と連携するとぶち上げた。だが、直後から不協和音が噴き出すなど、小沢氏の読みどおりになりつつある。

 その決定打は、石原新党の母体となる「たちあがれ日本」の藤井孝男参院代表(69)の余計な一言だった。橋下氏は11月1日、記者団にぶちまけた。

「こちらが共同代表をもちかけたという話はない。一方的に、(事実と違うことを)藤井さんが会見まで開いてリークするその姿勢。完全にこれは主導権争いなんですよ。強い不信感を抱いている。第一印象としては、カラーが違うな、と」

 そして、こう断言した。「石原さんの力は借りたいが、たちあがれのメンバーの力は別に必要ない」。

週刊朝日 2012年11月16日号