「猪瀬氏は都議会でも憔悴してボーッとしてましたね。夜も不安で寝られないらしい。自宅にも帰らず、事務所にも寄らず、ホテルなどを転々としているようです。これまでの人生で、ここまで責められた経験はないんでしょうね」(都庁関係者)
昨年11月、都知事選への立候補を表明する前日に、大手医療法人「徳洲会」から5千万円を受け取っていた問題で、“サンドバッグ状態”の猪瀬直樹都知事(67)。もちろんこれだけたたかれるのは、猪瀬知事のあいまいな説明が不信感を招いているからにほかならない。
問題が発覚した11月22日の午後1時すぎ。登庁時の“ぶらさがり取材”では「選挙の支援」で提供を受けたと答えていたのが、わずか2時間後の記者会見では「あくまでも個人としての借り入れ」「選挙とは関係ない」と説明内容が一変した。この「空白の2時間」に何があったのか。
「猪瀬氏の秘書である鈴木重雄氏が弁護士らと相談して、『個人の借金』で乗り切ることに決定。しかし、この方針が猪瀬氏に伝わるまでに時間がかかったことから、説明が二転三転したのです」(前出の都庁関係者)
その後も「借用証」の存在を追及されると、金額、名前、日付しか書かれていないお粗末なシロモノを出してきたり、こんな時期に政治資金パーティーを決行したりと、その一挙一動が不信感を増幅している。
猪瀬氏と同じ信州大学卒で、政治資金パーティーに出席した日本大学芸術学部の佐藤綾子教授はこう嘆く。
「猪瀬さんから、5千万円の説明を聞きたくて出席したのに、何の説明もありませんでした。マスコミも締め出し、録音も禁止の会だったんですから、説明してほしかった。猪瀬さんは、パーティーが終わると、握手も記念撮影もせず、足早に退出してしまいました」
現在の注目は都議会での「攻防」に移っている。12月5日の都議会本会議では、知事答弁に「説明になっていない」「人間としての恥を知れ」など与野党問わずヤジが飛んだ。
猪瀬氏を厳しく追及した共産党の河野ゆりえ都議はこう語る。
「今後は関係者の出頭や記録の提出を強制できる『百条委員会』を設置して真相を究明すべきです。各会派に呼びかけて百条委設置への賛同を得られれば、あいまいな答弁では通らなくなります」
「虎」の尾を踏んだ「猪」は、いよいよ逃げ道をなくしつつある。
※週刊朝日 2013年12月20日号