ジャーナリストの田原総一朗氏や鳥越俊太郎氏などが、11月20日、都内で特定秘密保護法案に反対する集会を開催した。ジャーナリストの横田一氏が、参加者たちの声をリポートする。
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著名なジャーナリストらが特定秘密保護法案に反対する集会を11月20日に開き、声を上げた。呼びかけたのは田原総一朗、鳥越俊太郎、江川紹子、田勢康弘(日本経済新聞)、岸井成格(毎日新聞)の各氏らで、130人以上が参加。
田勢氏は「これほどひどい法案が出てきたことはかつて経験がない」と呆れ、岸井氏も「『秘密保護法は必要なのか』と取材で政府に聞くと、『それは秘密です』と答える。冗談じゃない」と怒った。
それほどの悪法なのに、衆院通過は確実視されている状況だ。なぜ、メディアは安倍政権の“暴走”を食い止められなかったのか。田原氏はここ10年間での変化を物語るエピソードを語った。
「(呼びかけ人の)鳥越俊太郎さんが『(特定秘密保護法案反対の)呼びかけ人になってほしい』と頼んだら、10名以上(のキャスター)が『全く賛成なのだけれども名前は出さないでほしい』と言った。02年の個人情報保護法案のときは『とんでもない法案だ』と全キャスターがそろったのに」
及び腰になっているのは現場記者も五十歩百歩。
「石破茂幹事長に『(秘密指定の)チェック機能が全くないことをどう思っているのか』と聞いたら、『初めてそういう質問を受けた』と言っていた」(田原氏)
法案の不備を問い質(ただ)す記者が減り、権力監視が疎(おろそ)かになっている状況について先の田勢氏はこう分析した。
「新聞もテレビも、いかに首相はじめ重要閣僚を自社に呼ぶのかを考えている結果がこうなったのではないか。自らも反省をしながら思っています」
NYタイムズは「大統領の(単独)インタビューなんて下品なものできるか」という気風があるのとは対照的だ。
続いて鳥越氏に「世の中で最もリベラルな新聞」と紹介された日刊ゲンダイの下桐治社長は、大メディアへの不信感を露(あらわ)にした。
「連日、秘密保護法反対の記事を出しているが、こんな大事な法律が国民全体の中で問題にされない。メディアにも責任がある。新聞やテレビはまだまだ本気じゃない。書きようが甘い。『(消費増税の際の)軽減税率が絡んでいるのではないか』と思いたくなる」
沖縄返還の「日米密約」を暴き、逮捕、起訴された元毎日新聞記者の西山太吉氏もこう危惧した。
「外国の記者は『密約を結んで国会で嘘をついたことが分かった場合には直ちに首です』と言っていた。日本のメディアはこうした政治犯罪を弾劾すべきなのに、しなかった。そのつけが今日の秘密保護法につながっている」(16日の講演会)
今後、挽回するチャンスがあることを祈るばかりだ。
※週刊朝日 2013年12月6日号