秋の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡し、猛烈なバッシングを浴び、国会で「厳重注意」処分を受けた山本太郎参院議員(38)。だが、海外では意外な面々から、その行動を「日本のタブーに立ち向かった勇敢な政治家」と支持する声が相次いでいる。「まさか」の反応が海外で起こっている理由をジャーナリストの桐島瞬氏と瀬川牧子氏が探った。
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「日本の代議士制度では、山本氏のようなことをやる必要がない。それなのに天皇陛下に手紙を渡すなど、常識以前の問題ですよ」
「原発興国論」などを発表する上智大学名誉教授の渡部昇一氏は、山本太郎参院議員が園遊会で天皇陛下に手紙を渡したことをバッサリと切り捨てる。
今回の一件は、山本議員の支持者でも眉を顰(ひそ)めた人が多かったかもしれない。
だが、海外や日本在住の外国人からは、意外にも山本議員の行動を支持する声が相次いでいる。
英国ではBBCの看板討論番組「ハード・トーク」が11月8日、「エチケットはそんなに大ごとなのか」とこの話題を伝え、ワシントン・ポストもAP通信の記事を掲載するなど、国際的に知られるニュースになっていたからだ。
「山本さんが可哀想。彼が天皇陛下に訴えたかったのは福島の人たちが置かれている『人間問題』。決して政治利用ではない」
こう話すのは日本在住のカトリック司祭で、皇室とも深い関係にある英国人のピーター・ミルワード氏。カトリック教徒の最高指導者であるローマ法王へ2度手紙を書いた経験なども踏まえながらこんな話をしてくれた。
「例えば、エリザベス女王のお誕生会に招かれた人が女王に直接手紙を渡したら、顔をしかめる英国人もいるでしょう。そういう意味では山本さんの行為はエチケットに欠けたかもしれない。ですが、彼の思いを手紙にして陛下に伝えても、何ら差し支えないはずです」
ミルワード氏は、山本議員にこうエールを送る。
「法王様は来年、日本へ来られるかもしれません。山本さんが手紙を書いて福島の状況をお伝えしたらどうでしょう。それがきっかけで、福島に足をお運びになる可能性だってあります」
※週刊朝日 2013年11月29日号