自民党や日本維新の会をはじめとした超党派の議員たちによるカジノ議連が、今国会で解禁法案を提出する構えとなり、いよいよ我が国でのカジノ解禁が現実味を帯び始めた。
業界がかたずをのんで見守るのが永田町の動きだ。
日本でカジノは賭博として禁止されており、新法をつくって解禁しない限り、業界は動くに動けない。
そのため超党派のカジノ議連が、「特定複合観光施設区域整備推進法案(IR推進法案)」の成立に必死になっている。
IRとはカジノだけでなく、ホテルや会議場、展示場、レストラン、ショッピングモールなどの統合型リゾートのことだ。
「世界はすでにカジノだけではなく、統合型リゾートを造って集客している。それによりさらに観光客が集まり、カジノにもカネが落ちる仕組みになっています」(岩屋毅議連幹事長)
議連は共産と社民を除く自民、維新、公明、民主、みんな、生活、無所属の146人からなる。最高顧問には安倍晋三首相を始め、麻生太郎副総理、維新の石原慎太郎共同代表、生活の小沢一郎代表が名を連ねる、「超強力布陣」だ。
法律は2段階で、まず現在準備中の「IR推進法案」には理念などを盛り込む。監視や監督、運営の具体策などは、同法施行後1年以内を目標に制定する「IR実施法」に定める予定だ。
業界同様、すでに永田町の目もまた、一連の施設の建設先に向かっている。
お台場説とともにささやかれているのが「沖縄説」だ。滞る米軍普天間飛行場の名護市辺野古(へのこ)への移設問題を動かすため、安倍政権が地元の同意を取り付ける「アメ」にするはず――との臆測が飛び交っている。具体的には普天間飛行場の跡地に地域振興策として、施設の建設を約束するというものだ。
「結局、全国のどこが候補地に選ばれようが、不満の声が必ず上がります。その点、基地負担を強いており、施設建設が格好の経済・雇用対策となる沖縄ならすべてが丸く収まります。麻生副総理も『リゾート地にあるのが理想的で、沖縄以外ではまとまらないだろう』と言っていました。高村正彦副総裁も同じ考えのようです」(自民党閣僚経験者)
さらに東京への一極集中批判もかわせ、維新の本拠地である大阪へ持っていかなくても済むという計算も透けて見える。
政権にとって一石で何鳥にもなるのが、この「沖縄案」なのだ。
※週刊朝日 2013年11月15日号